バリスタエッセイ「ナカノ永久機関」
フリック入力
2017年9月1日(金)
スマートフォンのフリック入力が苦手だ。
こんなこというと時代遅れのオジサンみたいだけど、そのとおりだから仕方がない。
世の中にスマートフォンなるものが現れて十年ぐらいが経つ。そのおかげで人びとの生活も大きく変わった。
電話については、スマートフォンよりも前の携帯電話(今でいうガラケー)でいつでもどこでも話ができるようになったけれど、スマートフォンの登場でいつでもどこでもウェブを見たり、誰かとメッセージをやり取りできるようになった。
今や誰も彼もが皆、手の中のスクリーンを目を凝らして見つめ、そして文字を入力している。
こうなってくると、スマートフォンというせまいスクリーンでいかに早く文字が入力できるかが勝負だ。いやべつに勝負でもなんでもないんだろうけど、巷はそんな雰囲気だ。すさまじい速さでフリック入力をする人を見かけると、曲芸のようだとつくづく感心する。それと同時に、なぜか負けた感じがしていくらか切なくなる。
そんなことは人からするとどうでもいいことなのかもしれない。でもやっぱり気になっちゃうんだよね。前の仕事がプログラマーだったので「キーボードだったら負けないのに」なんていう負け惜しみも湧いてきたりして。
この文章もフリック入力で書き始めたんだけど、あまりにもどかしくて、結局は途中からキーボードで書いた。なんで皆あんなにすらすら入力できるのだろう。実に不思議だ。