バリスタエッセイ「ナカノ永久機関」
すこしふしぎ
2018年2月23日(金)
だいぶ前にエアープランツの話を書いたけれど、今回はその番外編みたいな話です。
僕がエアープランツにはまったのはじつは理由がある。それはエアープランツが、コーヒーのラテアートと同じように、ビジュアルアートともいうべき園芸だからだ。
エアープランツもラテアートもブームが起きて、誰でも知っているものになった。なので、いまさらなんの疑問も持たないかもしれない。だけど本当は、飲み物(液体)の表面に絵が描かれるということも、地面(土)から離れて植物が生育するということも決して当たり前のことではない。
かつて、漫画家の藤子・F・不二雄さんは、自身の作品のジャンルをSFといった。でもそれはサイエンスフィクションのことではなくて、「すこしふしぎ(SUKOSHI FUSHIGI)」という造語で表現した。
この「すこしふしぎ」とは「ありふれた日常の中に紛れ込む非日常的な事象」のことだそうだけど、エアープランツやラテアートもまさにそのとおりだと思うのだ。
どちらも、現実の事象として存在するのだけど、よくよく考えてみるとすこしふしぎ。僕らの生きている世界は、じつはそういった事がらであふれている。生きるよろこびとは、そういうことに気づくかどうかだといっても過言ではないと思う。
僕自身、いつまでも好奇心をなくすことなく生きていきたいし、カフェとしても「すこしふしぎ」を提供できる店であり続けたい。

中野隆靖 Takayasu NAKANO
1972(昭和47)年、静岡県生れ。武蔵工業大学工学部卒業。2011年、カフェナカノ開業。オーナーバリスタ、ラテアーティストとして活躍中。

最新

© 2009-2018 café NAKANO