バリスタエッセイ「ナカノ永久機関」
本屋
2017年11月24日(金)
世の中にECサイトというものが登場してから巷でめっきり本屋を見かけなくなった。
本屋ばかりではない。いろんな商店が姿を消した。商店街はさびれ、デパートの賑わいもなくなっている。残っているのは大手企業が運営する店ばかりだ。
ECサイトのせいばっかりでもないんだろうけど、やっぱり幾らかの影響はあるように思う。
競争社会なのだから仕方がないというのもある。だけど、経営努力が足らないせいだという一言で済ませてしまっていいのだろうか。
こんなに商店が少ないと、たとえば近ごろの子どもたちが◯◯屋さんになりたいという夢を持つことなんてできるのかなあと思ったりもする。親御さんも教育の上で困ったりしないのかしら。
僕が子どものころは、本屋なんて自転車で行ける範囲だけでも何軒もあって、放課後によく訪れた。たくさんの本が並んだ空間にいるだけで自然とわくわくしたものだ。
現代はパソコンやスマートフォンさえあれば手軽に知識や情報を得られる。でも、スクリーンの中でそれを見つけるのと、たくさんの本の中からそれを見つけるのでは感性を磨くという意味ではやっぱり違ってくるんじゃないか。本という物体を通して肌で感じないと有り難みなんてないんじゃないかなあ。
いや、僕だってECサイトで買い物をするよ。だって便利だもの。だけど、身近から本屋や商店がなくなってしまわないように買い物をするのも大事なことだと思う昨今です。

中野隆靖 Takayasu NAKANO
1972(昭和47)年、静岡県生れ。武蔵工業大学工学部卒業。2011年、カフェナカノ開業。オーナーバリスタ、ラテアーティストとして活躍中。

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