バリスタエッセイ「ナカノ永久機関」
ゾウの時間 ネズミの時間
2017年10月27日(金)
僕らは、時は万物に平等だと思っている。時計がコチコチと刻む時間のことだ。誰にとっても一日は八万六千四百秒だし、その一秒にも違いはない。
これを読んでいるあなたと僕の時間の進み方が違うとしたら?なんてことは想像したこともないだろう。
「ゾウの時間 ネズミの時間」は、生物学者の本川達雄さんが書いた生物学の入門書だ。九十二年に出版されたものだけど、ベストセラーになったので知っている人もいると思う。
この本は、まさにその「時間の進み方が違う」ということを説いたものだ。
動物のサイズが違うと機敏さが違うことから、体のサイズと時間を調べてみると、次のような関係があるのだそうだ。
時間は体重の1/4乗に比例する。
寿命だけでなく、息をする間隔、心臓が打つ間隔だってこの1/4乗則 にあてはまる。この説明だとちょっと難しいけど、ゾウにはゾウの時間が、ネズミにはネズミの時間があるということになる。テンポといってもいいのかもしれない。
ところが一生の間に息をする回数や心臓が打つ回数は同じなのだ。つまり、呼吸や鼓動の回数からみるとゾウもネズミも同じだけ生きたことになる。
これを読んだとき、大きなショックを受けた。時間は平等なんて嘘っぱちじゃないか。
それは言い過ぎかもしれないけれど、今更やり直しがきかないのも事実なので、少なくともこれからは自分の鼓動に正直に生きようじゃありませんか。

中野隆靖 Takayasu NAKANO
1972(昭和47)年、静岡県生れ。武蔵工業大学工学部卒業。2011年、カフェナカノ開業。オーナーバリスタ、ラテアーティストとして活躍中。

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