バリスタエッセイ「ナカノ永久機関」
視力0.1の世界
2017年10月20日(金)
僕は目が悪い。いわゆる近視だ。最近ちゃんと視力を測る機会がなくて、正確なところはわからないけれど、最後に測ったときは裸眼で0.1ぐらいだったように思う。
高校のころから徐々に悪くなってきて、大学に入ったころにはすっかり近視になってしまった。それでも学生の間は必要に応じて眼鏡をかけたり外したりしてやり過ごしていた。だって理系で眼鏡なんていかにもという感じでしょ。そんなコンプレックスも多少あったりして。
とはいえ、大学を卒業してサラリーマンになったら、眼鏡なしでは仕事にならないので、しぶしぶかける生活になった。
今のカフェの仕事を始めてからもしばらくは眼鏡をかけていたんだけど、いくら洒落た眼鏡でも野暮ったいのは否めない。
数年前、行きつけのヘアーサロンのスタイリストに「眼鏡をかけるのをやめましょう」といわれて、思い切ってかけるのをやめた。いやべつに自分の見た目が変わるのを思い切ったわけじゃなくて、周りが見えづらくなるというのを思い切ったわけだ。
視力が0.1の視界というのは、同じぐらいの視力の人にしかわからないと思うんだけど、本当にすべてがぼやけている。なんたって視力検査の一番上の視標(C字型のマーク、正式にはランドルト環といいます)が見えないんだから。
でもまあぼやけているというのも悪くないですよ。細かいことを気にしなくなって、穏やかに生活できるってもんです。

中野隆靖 Takayasu NAKANO
1972(昭和47)年、静岡県生れ。武蔵工業大学工学部卒業。2011年、カフェナカノ開業。オーナーバリスタ、ラテアーティストとして活躍中。

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